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サワードウそのものをつくるには、小麦粉やライ麦粉を水と混ぜ、室温でしばらく放置すればよい。穀物のデンプンと水が接触すると、穀物自体に含まれる酵素のアミラーゼによってデンプンが加水分解され、マルトース(麦芽糖)をはじめとする糖類が生じる。穀物表面や空気中に存在している乳酸菌はマルトースを代謝してグルコースやフルクトースなどを生産し、さらにこれらを栄養源として酵母が生長する。新鮮な穀物粉と水を定期的に補給し、温度などの環境を適切に保持すれば、数日で乳酸菌と酵母が安定に共生したサワードウが出来上がる。
安定したサワードウには出芽酵母 Saccharomyces cerevisiae と乳酸桿菌 Lactobacillus sanfranciscensis が主に生育しており、個体数では乳酸菌が酵母の100倍から1000倍ほど多く存在する。これは乳酸菌がデンプン由来のマルトースを直接栄養源とできるものの、酵母はマルトースを利用できず乳酸菌の代謝産物であるグルコースなどに依存しているためである。この共生系は菌類の生産する酸や抗菌性物質の影響で他の雑菌が繁殖しにくくなっており、粉と水を補給すればいつまでも培養し続けることができる。
サワードウに含まれる酵母と乳酸菌の種類や比率は、その土地の気温や湿度、標高などの環境によって変化する。このため、同じサワードウを使っても出来上がるパンの風味は土地によって変化する。また、伝統的な製パン所では何年も同じサワードウを培養し続けて使うため、その過程で店ごとに菌類の種類や組成に差が生じている。結果として、出来上がるパンは店ごとに個性的な風味をもつ。
